『雑踏の影』をご覧いただき、ありがとうございます。
着稿前に、今回は完全なフィクションであるとお伝えしておりました。
初めは、フィクションにする予定でしたが、次第に私の実体験や考えが含まれて行きました。
頭の中でストーリーは進んでいくのですが、それを上手く表現できず戸惑うこともありました。
その辺りに、自らの力不足を再認識した作品でもありました。
次回作も、完全なフィクションを書きたいと考えています。
会話劇による展開を上手く書ければと思っております。
それでは、次回作をご高覧下さい。
メトロノーム・シンドローム~第一話~
着稿前に、今回は完全なフィクションであるとお伝えしておりました。
初めは、フィクションにする予定でしたが、次第に私の実体験や考えが含まれて行きました。
頭の中でストーリーは進んでいくのですが、それを上手く表現できず戸惑うこともありました。
その辺りに、自らの力不足を再認識した作品でもありました。
次回作も、完全なフィクションを書きたいと考えています。
会話劇による展開を上手く書ければと思っております。
それでは、次回作をご高覧下さい。
メトロノーム・シンドローム~第一話~
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「ねぇ、私と一緒に死んでくれない?」
急行も止まらない小さな駅の静かなバスロータリー。
その片隅にひっそりと存在する喫茶店の定位置で、沙織は僕に言った。
「随分と物騒な話だね。」
「物騒かしら?」
「あまり、陽気な話とは思えないね。特に、今日のような記念日にする話題としては。」
「記念日だから、話してるの。」
そう言い、沙織はアイスティーを一口飲んだ。
「あのね、誕生日というのは、私が生まれた日なわけ。」
「いかにも。」
「それは同時にね、私が死に向かって歩き始める事を義務づけられた日なの。」
「なるほど。」
時として沙織は、手入れの行き届いたアクアリウムの様な澄んだ瞳からは想像も出来ないような事を言う。
そして、それは僕に心地よい刺激を与える。
今日もまた、そうであった。
僕は、沙織の言葉を反芻しながら煙草に火を付けた。
「ねぇ、聞いてるの?今、私が二番目に大事な事を話してるのよ。」
「しっかりと聞いているよ。ところで、一番目の話はどうしたんだい?」
「ねぇ、分らないの?世の中には順番を守らなければいけない事がたくさんあるの。」
「でも、一番というものは、とても気になるんだよ。」
沙織は一呼吸を置くために、またアイスティーを一口飲んだ。
僕は、沙織が空けた間を埋めるかのように、ゆっくりと紫煙を吐き出した。
「いい?今、私が話している話の順序は、三番目に大事な事なの。」
「分かったよ。続きをどうぞ」
そこから、今の沙織にとって二番目に大事な話を、三番目に大事な順番の通り話し始めた。
メトロノーム・シンドローム~第二話~