電話は彼女からであった。
紹介してくれる友達が残業で、少し遅れてるそうだ。
見知らぬ街で、どのように時間を潰そうか考えたが、そのまま待つことにした。
待ち合わせの時間を10分ほど過ぎた頃、彼女が友達を連れて申し訳なさそうにやってきた。
「気にしないでいいよ」と言いながら、彼女が連れて来た友達を見た。
「綺麗な人だな」と思ったが、口にはせず、心の中に留める事にした。
挨拶も早々に、3人で近くの居酒屋に入った。
友達が綺麗なことは嬉しいが、何よりも彼女が不意に見せる悲しげな表情が気にかかっていた。
すると、酔いが回った彼女は唐突に彼氏と上手くいっていないことを話し始めた。
綺麗な友達は、的確なアドバイスをしながら、時折僕に意見を求めてきた。
きっと、この人は仕事もキッチリこなす人なのだろうなと感心しながら、そのアドバイスを聞いていた。
3時間ほど話した頃だろうか。
時計を見ると、その時は過ぎていた。
そう、彼女の終電の時間が過ぎていたのだ。
だが、肝心な本人は喋りつかれたのか目がうつろである。
それに気づいたお友達は、彼女の実家に連絡をいれていた。
その対応の早さにつくづく感心していた。
この後はどうするか友達と相談していると、彼女が僕の家で飲もうと言った。
友達は少し考え、その意見に同意した。
全くもって僕は意見を言っていないが、僕は聞かれたところで断れる自信がなかった。
そうして、僕の家に始めて女性が来た。
友達と、その友達。
途中のコンビニで買ってきたビールを飲みながら夜中まで話し続けた。
いつの間にか、僕たちは眠っていた。
~つづく~
初夏の風音~第六話~
紹介してくれる友達が残業で、少し遅れてるそうだ。
見知らぬ街で、どのように時間を潰そうか考えたが、そのまま待つことにした。
待ち合わせの時間を10分ほど過ぎた頃、彼女が友達を連れて申し訳なさそうにやってきた。
「気にしないでいいよ」と言いながら、彼女が連れて来た友達を見た。
「綺麗な人だな」と思ったが、口にはせず、心の中に留める事にした。
挨拶も早々に、3人で近くの居酒屋に入った。
友達が綺麗なことは嬉しいが、何よりも彼女が不意に見せる悲しげな表情が気にかかっていた。
すると、酔いが回った彼女は唐突に彼氏と上手くいっていないことを話し始めた。
綺麗な友達は、的確なアドバイスをしながら、時折僕に意見を求めてきた。
きっと、この人は仕事もキッチリこなす人なのだろうなと感心しながら、そのアドバイスを聞いていた。
3時間ほど話した頃だろうか。
時計を見ると、その時は過ぎていた。
そう、彼女の終電の時間が過ぎていたのだ。
だが、肝心な本人は喋りつかれたのか目がうつろである。
それに気づいたお友達は、彼女の実家に連絡をいれていた。
その対応の早さにつくづく感心していた。
この後はどうするか友達と相談していると、彼女が僕の家で飲もうと言った。
友達は少し考え、その意見に同意した。
全くもって僕は意見を言っていないが、僕は聞かれたところで断れる自信がなかった。
そうして、僕の家に始めて女性が来た。
友達と、その友達。
途中のコンビニで買ってきたビールを飲みながら夜中まで話し続けた。
いつの間にか、僕たちは眠っていた。
~つづく~
初夏の風音~第六話~
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目が覚めると僕は部屋に一人きりだった。
時計を見ると既に12時を回っていた。
昨日の騒がしさが嘘のように静まり返ったこの部屋。
ここは紛れも無く、いつもの僕の部屋である。
ベッドから起き上がり、タバコを取ろうとするとテーブルの上に紙切れがあった。
よく見ると手帳から切り取られた1ページに、電話番号とアドレスが書いてある。
そこには、彼女が仕事に出掛けるので、自分も一緒に帰ると書かれていた。
彼女は四週八休のうち、日曜日は固定休だが、あとの一日は毎週違うと言っていた。
きっと、今日は休みではなく仕事なのだろう。
そして手紙の最後には、鍵を閉めずに家を出てごめんなさい。と書いてあった。
しかし、よく気遣いが出来る人だなと思っていると、タバコの灰が手に落ちた。
タバコの火は800度にもなると言うのだから、それはもう熱い。
一人で熱い熱いと騒いでる自分が映る洗面台の鏡を見て、恥ずかしくなった。
きっとあの子なら、決して慌てず、冷静にやけどを冷やすのだろうと思ったからだ。
それから、いつものように天井を見上げていた。
こうして天井を見上げている時は、ぼんやりと考え事をすることが多い。
仕事の事を考えることもあるが、大体がくだらない考え事だ。
もちろん、今日も例外ではない。
アドレスを聞いたはいいが、何とメールをすればいいかを考えていた。
昨日のお礼を言うべきか、次の約束をするか。
何を書いて、何と帰ってきても次の返事が出せる状態にしたい。
できることなら、こちらからメールをやめることは避けたい。
「何か考えが理屈っぽいな。」
そう思い、笑いがこぼれた。
たった数ヶ月とはいえ、職業病とも思える考えが出てきたのは、やはり社会人として少しは成長している証なのだろう。
結局、上手い話題が浮かばず、やけどの事を話すことにした。
やけどをして一人で騒いでいたこと。
鏡に映った自分を見て恥ずかしくなったこと。
そして最後に、こんな時はどうすれば英国紳士のように見えるかを聞いてみた。
静かなこの部屋が希望で満ち溢れている気がした。
~つづく~
初夏の風音~第七話~
時計を見ると既に12時を回っていた。
昨日の騒がしさが嘘のように静まり返ったこの部屋。
ここは紛れも無く、いつもの僕の部屋である。
ベッドから起き上がり、タバコを取ろうとするとテーブルの上に紙切れがあった。
よく見ると手帳から切り取られた1ページに、電話番号とアドレスが書いてある。
そこには、彼女が仕事に出掛けるので、自分も一緒に帰ると書かれていた。
彼女は四週八休のうち、日曜日は固定休だが、あとの一日は毎週違うと言っていた。
きっと、今日は休みではなく仕事なのだろう。
そして手紙の最後には、鍵を閉めずに家を出てごめんなさい。と書いてあった。
しかし、よく気遣いが出来る人だなと思っていると、タバコの灰が手に落ちた。
タバコの火は800度にもなると言うのだから、それはもう熱い。
一人で熱い熱いと騒いでる自分が映る洗面台の鏡を見て、恥ずかしくなった。
きっとあの子なら、決して慌てず、冷静にやけどを冷やすのだろうと思ったからだ。
それから、いつものように天井を見上げていた。
こうして天井を見上げている時は、ぼんやりと考え事をすることが多い。
仕事の事を考えることもあるが、大体がくだらない考え事だ。
もちろん、今日も例外ではない。
アドレスを聞いたはいいが、何とメールをすればいいかを考えていた。
昨日のお礼を言うべきか、次の約束をするか。
何を書いて、何と帰ってきても次の返事が出せる状態にしたい。
できることなら、こちらからメールをやめることは避けたい。
「何か考えが理屈っぽいな。」
そう思い、笑いがこぼれた。
たった数ヶ月とはいえ、職業病とも思える考えが出てきたのは、やはり社会人として少しは成長している証なのだろう。
結局、上手い話題が浮かばず、やけどの事を話すことにした。
やけどをして一人で騒いでいたこと。
鏡に映った自分を見て恥ずかしくなったこと。
そして最後に、こんな時はどうすれば英国紳士のように見えるかを聞いてみた。
静かなこの部屋が希望で満ち溢れている気がした。
~つづく~
初夏の風音~第七話~