最後までお読みいただき、ありがとうございます。
冒頭の『ご挨拶』でも、書かせていただきましたが、この『a short story』は、大部分がフィクションで構成されています。
ただ、完全なるフィクションではなく、所々に私meganeの実体験を織り交ぜています。
また、その実体験は出来る限り事実に忠実に盛り込ませていただきました。
megane処女作である『初夏の風音』も、例外なく実体験が盛り込まれています。
冒頭ではご説明しませんでしたが、必ず一話に一つは実体験を盛り込んで書上げました。
何度も申し上げますが、私を実際に知っている方、知らない方、共に「どこが実体験だろう?」と考えながら読んでいただければ、『小説』を飽きずに読んでいただけるのではないでしょうか?
三人称の彼女が友達になり彼女に戻る。
三人称の友達が恋人の彼女になり、別れていく。
この、呼称の変化には気づいていただけましたでしょうか?
現在、次回作の構想を練り上げている真っ最中でございます。
今週末には着稿したいと思います。
次回作「放課後のハミング」の公開をお待ち下さい。
放課後のハミング~第一話~
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中学1年生の僕は荒れていた。
と言っても、俗に言う『不良』とは一線を画しているつもりだ。
力で訴えるのではなく、頭で訴えるのだ。
同級生より頭一つ分小さい僕は、腕力では勝てない。
でも、勝負を易々と捨てるような冷静な判断力は生憎と持ち合わせていなかった。
僕は、人を怒らせるのが好きだ。
と言っても、怒られているという感覚はない。
僕に向かって『怒り』を露にする相手を、客観的に見て笑うのだ。
特に、相手が大の大人であると、より一層とおもしろい。
十三歳の僕に向かい、顔を赤らめながら発狂に近い形相で怒号を投げかける。
それは、ゴールデンタイムのバラエティとは比にならない程の愉快さだ。
今日も例外ではない。
僕は、生徒指導室に呼び出されていた。
「おまえ、自分のしたことが分かってるのか!」
「分かってますよ。」
「おまえ・・・、何だその態度は!自分の立場が分かっているのか!!」
「だから、何度も言わせないで下さいよ。キッチリ分かってます。」
何のことはない。
タバコを吸っていたのを見つかったのだ。
「何でいつもそうなんだ!おまえには反省する気がないのか!」
「逆に聞きますけど、毎回同じ事言ってて飽きません?」
「もう飽き飽きしてるわ!」
「いやぁ、嬉しいですね。初めて意見が合いましたよ。」
「ん?どういう事だ?」
「僕はこの場所に退屈していて、先生は説教に飽き飽きしている。早く終わらせませんか?」
「だから、その態度が許せないんだ!何度言ったら分かるんだ。」
「だから・・・分かる気がないんですよ。僕には。」
「おまえもバカじゃないだろ?何でお兄さんみたいにできないんだ!」
「兄貴は関係ねぇだろ、筋肉バカ!」
「バカだと?おまえ、言っていいことと悪いことがあるぞ。」
『来た!』
これは、嵐の前の静けさである。
このトーンになったら、完全に教師は冷静さを失っている。
今こそ、畳み掛ける絶好機であるのだ。
「言っていいことと悪いことですか・・・ふ~ん。じゃぁ、聞きますが生徒を兄弟と比較して責めることは言っていいことなんですか?」
「屁理屈を言うな!」
「屁理屈だなんて、横柄な。間違ったことは言ってないですよ。そもそも、僕がタバコを吸うことで誰に迷惑をかけました?」
「バカヤロウ!迷惑とかそういう問題じゃない!おまえは法を犯してるんだ!犯罪者だ!」
「犯罪者ですか。じゃぁ、生徒に向かって今みたいに怒号を挙げるのは脅迫じゃないですか?」
「だから、屁理屈を言うなと言っているだろ!」
「分かりました、では話すことはありませんので、失礼します。」
そう告げ、僕は生徒指導室を出た。
「待て!話は終わってない!」
後ろで叫び声が聞こえるが、僕は振り返らない。
これから、僕には重要な仕事があるのだ。
それは、『今日のお説教』をクラスメートに面白可笑しく伝える事である。
僕を生意気なクソガキと思う人も多いと思う。
しかし、僕はそれを期待しているのだ。
周りの期待を裏切ることこそが、エンターテイメントであると思う。
人に予測される通りの生き方など、何の面白みをも感じられない。
僕自身にキャッチコピーを付けるとすれば、さしずめ『期待裏切り度ナンバー1』と言ったところであろうか。
頭の固い大人になるくらいなら、今が楽しければいい。
僕は、そう思っていた。
~つづく~
放課後のハミング~第二話~
と言っても、俗に言う『不良』とは一線を画しているつもりだ。
力で訴えるのではなく、頭で訴えるのだ。
同級生より頭一つ分小さい僕は、腕力では勝てない。
でも、勝負を易々と捨てるような冷静な判断力は生憎と持ち合わせていなかった。
僕は、人を怒らせるのが好きだ。
と言っても、怒られているという感覚はない。
僕に向かって『怒り』を露にする相手を、客観的に見て笑うのだ。
特に、相手が大の大人であると、より一層とおもしろい。
十三歳の僕に向かい、顔を赤らめながら発狂に近い形相で怒号を投げかける。
それは、ゴールデンタイムのバラエティとは比にならない程の愉快さだ。
今日も例外ではない。
僕は、生徒指導室に呼び出されていた。
「おまえ、自分のしたことが分かってるのか!」
「分かってますよ。」
「おまえ・・・、何だその態度は!自分の立場が分かっているのか!!」
「だから、何度も言わせないで下さいよ。キッチリ分かってます。」
何のことはない。
タバコを吸っていたのを見つかったのだ。
「何でいつもそうなんだ!おまえには反省する気がないのか!」
「逆に聞きますけど、毎回同じ事言ってて飽きません?」
「もう飽き飽きしてるわ!」
「いやぁ、嬉しいですね。初めて意見が合いましたよ。」
「ん?どういう事だ?」
「僕はこの場所に退屈していて、先生は説教に飽き飽きしている。早く終わらせませんか?」
「だから、その態度が許せないんだ!何度言ったら分かるんだ。」
「だから・・・分かる気がないんですよ。僕には。」
「おまえもバカじゃないだろ?何でお兄さんみたいにできないんだ!」
「兄貴は関係ねぇだろ、筋肉バカ!」
「バカだと?おまえ、言っていいことと悪いことがあるぞ。」
『来た!』
これは、嵐の前の静けさである。
このトーンになったら、完全に教師は冷静さを失っている。
今こそ、畳み掛ける絶好機であるのだ。
「言っていいことと悪いことですか・・・ふ~ん。じゃぁ、聞きますが生徒を兄弟と比較して責めることは言っていいことなんですか?」
「屁理屈を言うな!」
「屁理屈だなんて、横柄な。間違ったことは言ってないですよ。そもそも、僕がタバコを吸うことで誰に迷惑をかけました?」
「バカヤロウ!迷惑とかそういう問題じゃない!おまえは法を犯してるんだ!犯罪者だ!」
「犯罪者ですか。じゃぁ、生徒に向かって今みたいに怒号を挙げるのは脅迫じゃないですか?」
「だから、屁理屈を言うなと言っているだろ!」
「分かりました、では話すことはありませんので、失礼します。」
そう告げ、僕は生徒指導室を出た。
「待て!話は終わってない!」
後ろで叫び声が聞こえるが、僕は振り返らない。
これから、僕には重要な仕事があるのだ。
それは、『今日のお説教』をクラスメートに面白可笑しく伝える事である。
僕を生意気なクソガキと思う人も多いと思う。
しかし、僕はそれを期待しているのだ。
周りの期待を裏切ることこそが、エンターテイメントであると思う。
人に予測される通りの生き方など、何の面白みをも感じられない。
僕自身にキャッチコピーを付けるとすれば、さしずめ『期待裏切り度ナンバー1』と言ったところであろうか。
頭の固い大人になるくらいなら、今が楽しければいい。
僕は、そう思っていた。
~つづく~
放課後のハミング~第二話~