今日の夕飯はカップラーメン。
一人暮らしを始めた頃は、それはそれは真面目に自炊をしていた。
しかし、それも最初の数週間だけで、それからと言うもの定食屋・コンビニの弁当・カップラーメンのローテーションとなっている。
時間は余るほどあるが、『自炊』という作業に時間をかけることに疲れてきていたのだ。
僕が入った会社は実家から通えない訳ではなかった。
でも、僕は家を出たかった。いやそれは少し違う。あの街を出たかったのだ。
僕が生まれ育ったのは、何でもあるようで何もない町。
駅前には遊ぶ場所が溢れている。
駅を少し離れれば都会には珍しい『自然』も残っている。
それが心地よくもあり、鬱陶しくもあった。
そんなことを考えていると、3分という時間はあっという間に過ぎるものだ。
湯気を吐き出すカップから口へとラーメンを運ぶ。
それは、食事というにはお粗末過ぎる栄養補給の作業であった。
時はさらに進み、日が変わろうとしていた。
このワンルームの時間は歪んでいる。
夜は瞬く間に過ぎ去って行くのに、夜中は驚くほど速度を落とす。
ベッドに体を預け、天井を見る。
そこには昼とはわずかに違う風景がある。
その刹那、突如として焦燥感が僕を襲った。
「明日こそは何かしよう」
そう自分に呟き、何をするか考えていた。
気がつくと窓の外は明るかった。
季節は新緑の薫る初夏。
昼から行動するには、いささか抵抗を覚える。
結局、今日もフローリングに寝そべり天井を見上げる。
「明日こそ、明日こそは何かをしよう」
そう考えているうちに、僕は夢を見ていた。
~つづく~
初夏の風音~第三話~
一人暮らしを始めた頃は、それはそれは真面目に自炊をしていた。
しかし、それも最初の数週間だけで、それからと言うもの定食屋・コンビニの弁当・カップラーメンのローテーションとなっている。
時間は余るほどあるが、『自炊』という作業に時間をかけることに疲れてきていたのだ。
僕が入った会社は実家から通えない訳ではなかった。
でも、僕は家を出たかった。いやそれは少し違う。あの街を出たかったのだ。
僕が生まれ育ったのは、何でもあるようで何もない町。
駅前には遊ぶ場所が溢れている。
駅を少し離れれば都会には珍しい『自然』も残っている。
それが心地よくもあり、鬱陶しくもあった。
そんなことを考えていると、3分という時間はあっという間に過ぎるものだ。
湯気を吐き出すカップから口へとラーメンを運ぶ。
それは、食事というにはお粗末過ぎる栄養補給の作業であった。
時はさらに進み、日が変わろうとしていた。
このワンルームの時間は歪んでいる。
夜は瞬く間に過ぎ去って行くのに、夜中は驚くほど速度を落とす。
ベッドに体を預け、天井を見る。
そこには昼とはわずかに違う風景がある。
その刹那、突如として焦燥感が僕を襲った。
「明日こそは何かしよう」
そう自分に呟き、何をするか考えていた。
気がつくと窓の外は明るかった。
季節は新緑の薫る初夏。
昼から行動するには、いささか抵抗を覚える。
結局、今日もフローリングに寝そべり天井を見上げる。
「明日こそ、明日こそは何かをしよう」
そう考えているうちに、僕は夢を見ていた。
~つづく~
初夏の風音~第三話~
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